獣医師の誓い

【獣医師の誓い-95年宣言について 説明】

この「獣医師の誓い」は、世代や獣医師の職域を越えて、しかも実行性のあるものとして、すべての獣医師に受け入れられるよう、獣医師倫理の総論的、最大公約数的な事項を集約したもので、基本理念としての前文と5項目からなる各論で構成されております。

この誓いは、新しいセオリーや意見を述べるものではありませんし、また、高邁な精神訓話をしようとするものでもありません。
当たり前のことを羅列しただけです。

この当たり前のことを折に触れて改めて考え、そして自分自身の認識として、普段の行動の拠りどころとしていただきたいと願うものです。

また、「95年宣言」という副題は、この誓いを獣医師自らが内に向かって誓うということだけでなく、外に向かって、社会に対して宣言することにより、獣医師の責任を一層明確にすると同時に、これを遵守しなければならないという気持ちが喚起されることを期待して特に付したものであることを強調しておきます。

前文について:
獣医師とは何か、獣医師の役割は、そして獣医師のありようについての議論の集約です。

また、獣医師しての誇りをその職務の遂行と表裏をなすものとして位置付け、さらにプロフェッショナルとして自らを厳しく律するよう求めるとともに、獣医師自身の豊かさの追求にも触れております。

各論について:
前文の理解と前提にたって、より具体的な目標として、次の5項目にわたる事項をとりあげました。

獣医師の任務、職域が広範多岐にわたることから、盛るべき内容は多く、その集約、整理、表現などに苦労いたしましたが、より明快な主張となるよう工夫しました。

1 は、獣医師の幅広い任務を象徴的にとりあげたもので、動物の生命に直接関わるだけでなく、公衆衛生分野あるいはバイオメディカル分野などにおいて人の健康にも密接に関わる専門職としての社会的な使命をこのような形で常に認識するよう、獣医師の自覚を促すものです。

2 は、近年、重要となっている人と動物の関係-ヒューマン・アニマル・ボンドをより良く築くことについて、獣医師が両者に関わる専門職としてその職責を果たしていくことを通じて、平和な社会の発展と環境の保全に寄与するよう求めるものです。

3 は、獣医師が社会性、広い市民性を身につける必要を述べたもので、獣医師に限らず職業的科学者、専門家に往々にして見られる内面的な知性の峡隘性、社会性の欠如に対し、より幅広く教養を身につけるなど、専門分野以外のことに関する自己研鑽についても一層の努力を呼びかけるものです。

4 は、科学者としての獣医師が、当然のこととして、日進月歩の獣医学術の研鑽に常に努め、あわせて医学や生物学などの自然科学さらには社会科学を含む関連科学との交流を積極的に推進することにより、獣医学術のみならず、獣医学術と密接に関連する科学の発展についても貢献するよう願うものです。

5 は、独善的な傾向がみられがちな専門家-獣医師に対して、全体的なまとまりを強く呼びかけるとともに、国際的にも獣医師相互が広く交流し、様々な関係情報の交換・伝達を積極的に図っていくことによって、日本だけでなく、世界の獣医界が発展するよう期待するものです。